■ 抄録・要旨
| 中国農村部では、農業廃棄物や薪炭などの自給バイオマスが民生用燃料として大量に使用され、燃焼により粒子状物質が発生している。この粒子状物質中の炭素成分である元素状炭素(EC)、有機炭素(OC)はそれぞれ、地球温暖化および地球冷却化に寄与するため、中国大同市近郊の農村地帯の一般農家で暖房として用いられるカンを使用して、農業廃棄物バイオマスの燃焼により排出されるPM2.5(2.5μm以下の粒子)を捕集し、炭素成分の分析を行った。PM2.5中の総炭素量に占めるレボグルコサンの比率とその排出係数を求めた。また、燃焼温度が炭素粒子の組成に与える影響について調査を行った。すべてのバイオマスで、燃焼状態が燻り状態から高温の火炎状態になることで、TCに対してECの割合が増加する傾向が見られた。この結果は、燃焼温度の高温化による有機成分のECへの転換を示唆していた。
|